【新唐人2012年8月24日付ニュース】
司会者
8月15日より、中国各地で反日デモが続き、22日 河北省石家庄市でも数百人の市民が街頭に出て、釣魚(尖閣)島の主権を主張しました。薄熙来・谷開来案件および人体標本展が大きな波紋を呼んでいる中、反日の話題は中国官民間でもう一つの「世論の津波」を巻き起こしました。では 高ぶる民族主義によって、当局と民の間で社会問題に対する数少ない共通認識に至ることは可能でしょうか?「愛島」イコール中国人の「愛国」なのでしょうか?文昭さんにお伺いします。
司会者
こんにちは
香港の保釣活動家が釣魚島に上陸した後、環球時報は「中国官民の暗黙の了解は保釣成功の鍵」と題した社説を発表しました。一方 台湾メディアも「目下の中国の社会環境下、民族主義は官と民の最大の共通認識である」との社説を発表しました。この言い方について伺います。
評論家 文昭さん
中共政府と民衆が民族主義問題で共通認識に達したとは思いません。共通認識がないのなら所謂「暗黙の了解」も論外です。原因は中共当局自体が民族主義を信じていないし、民衆の多くも民族主義とは何かが分かっていないからです。中共はもう何の原則も主義もありません。あるのは一つだけで、つまり現政権と既得権益を守るためのアンダーラインのない「実用主義」です。この目標に達するためにはあらゆる手段を用います。所謂『民族主義』も道具の一つになりました。私がいつも言っている様に、中共メディアが喧伝する愛国も、場所を選んで「愛」しなければならず。その立場は一貫していないのです。釣魚島と黄岩島(スカボロー礁)を愛するのはいいのですが、樺太島はだめなのです。黄岩島と釣魚島は無人島で、歴史上でも中国政府は実質の行政管轄をしていません。一方の樺太島は今はロシアに占領されていますが、金、元、明、清などの歴代王朝では中央政府の管轄下にありました。歴史上で中国に属し、昔から中国の領土であったならば、樺太島は歴史上で中国に属していた時期のほうが長いのです。しかし、 ロシアは中共の主要盟友で、所謂「中ロ友情」の大局のため中共は清朝後期のロシアとの不平等条約を飲み込んだのです。樺太島を愛すると言ったら、共産党を困らせてしまうのです。その上 多くの中国人は樺太島が歴史上中国に属していたこと自体知らないのです。
司会者
民衆の大部分は民族主義とは何かが知らないとの話ですが、中国民衆の今の行動は民族主義ではないのでしょうか。
評論家 文昭さん
民族主義と愛国主義は現代政治においては同義語ですが、多くの中国人は「国家」に対して正しい認識がないので、民族主義に対しても情緒だけで理念がありません。例えば、多くの人は釣魚島と黄岩島を最高の民族尊厳の代名詞と見なしています。一方 現実の中では、同胞の権利や財産が剥奪され、極度に尊厳がなくても、見て見ぬふりします。
だから一言でまとめると、国家とは人のために存在するもので、人とは国家のために存在するものではない。民族主義の最終目標は民族の福祉を実現し、民族の個体と全体の尊厳を最大化することであって、同胞の福祉や尊厳を犠牲にして、誰のためなのかもわからない抽象的な面子を守るためではないのです。簡単に言うと、民を愛してこそ「愛民族」人を愛してこそ「愛国」なのです。
司会者
ありがとうございました。
(翻訳/坂本 映像編集/工)